消費税がまた上がりますね。どーも。おりおんです。
前回からの続きで、「自販機スキーム」の力業を書いていきたいと思います。
その前に前回のおさらいとして、
消費税の仕入税額控除の計算
課税事業者が調整対象固定資産(100万円以上の建物等)に係る課税仕入れを行った場合、
その課税期間以後3年間の通算課税売上割合が減少した場合において、
仕入控除税額の調整が行われる。(消費税法33)
その結果、課税仕入に係る還付税額の一部が取り戻されることになるのだ。
この調整計算を避けるために行われてきた手法が、通称「自販機スキーム」と呼ばれてきたので。
では、今行われている自販機スキームの力業とは。
「自販機スキーム」では、課税売上割合が減少してしまうため、課税事業者を不適用にする必要があったが、
いまだに行われているというのが、消費税の還付を受けてから3年間あえて課税売上をつくりだし、
通算の課税売上割合を著しく減少させないようにすることで、調整計算の適用を避けるというものだ。
そう、勘のいい方はお分かりだと思うが、そのために金地金取引を利用するのだ。
相当額の課税売上を恣意的なタイミングで計上しやすいため、金地金取引で課税売上を計上しているケースが
目立ってきています。
まさにお金にものを言わせて、無理矢理に適用を避けるやりかただ。
税務署も黙って見ているだけではない。
消費税は数ある税金の中でも、不正還付が多いと言われており、厳しく見られている。
特に、前述のような金地金の売買のみを不自然に繰り返していたら、嫌でも不正還付のために行われていると疑わざるを得ない。
契約基準と引渡基準
税務署は上記のスキームでの還付を認めないためにも、課税仕入の計上時期によって還付を受けさせないケースをつくった。
納税者が申告した契約発生の日(契約基準)ではなく、引渡のあった日(引渡基準)として、課税期間のズレを指摘し、
還付を認めないとしたのだ。
この点は、平成29年3月15日の裁決でも
「消費税の還付を受けるためだけの目的で、形式的に契約基準を適用することは認められない」
と指摘し、還付をお認めなかった事例が複数ある。
消費税の還付を受けたい納税者と税務署の戦いは、消費税がなくならない限り続きそうだ。